これから介護職未経験の方が仕事をするにあたって、必ずマスターしなければならないのが、対人援助の専門職にふさわしい「基本的態度」です。介護福祉士やヘルパーのみならず、ケアマネージャーから送迎ドライバーに至るまで、およそ介護の仕事に携わる者であれば、利用者やその家族と信頼関係を形成することが重要になります。対人援助をする際の基本的態度をマスターすれば、利用者やその家族との信頼関係をいち早く築いて、スムーズに仕事を進めることが可能です。
介護職における基本的態度のうち、最も大切なのがコミュニケーションの技法です。対人援助を目的とする介護職にとっては、コミュニケーションこそ全ての介護技術の基礎といっても、過言ではありません。したがって、話し言葉や書き言葉といった言語コミュニケーションはもちろん、表情や声あるいはジェスチャーといった非言語的コミュニケーションも含め、あらゆる方法でコミュニケーションできる能力が必要になります。
次に大切な基本的態度は、利用者に対して自己開示をすることです。介護の現場においては、利用者や家族と短時間で信頼関係を形成し、安心できる介護サービスを提供しなければなりません。介護職が適切に自己開示をすることによって、初対面の利用者やその家族に介護者自身を知って安心してもらい、良好な信頼関係を築くことが可能になります。ただしここで言う「自己開示」とは、単なる自己紹介ではありません。提供する情報の量や深さ、あるいはタイミングや状況、さらに対象となる人物像をよく見極めた上で、適切に自己開示をすることが大切です。そのためには、まず自己理解を十分に深めることが前提となります。